そもそも学術論文では当初、2019―nCoV(2019 novel coronavirus)という表記でした。「2019年に出現した新しいコロナウイルス」という意味です。
そして、国際ウイルス分類委員会によってSARS―CoV―2と命名されました。
というのもこのウイルスは全く新しいウイルスではなく、2002年に出現したSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスの仲間だからだというのが理由です。この時点で、学術的には「新型」という要素を捨てる形になりました。
一方、疾患名はWHO(世界保健機関)によってCOVID(コビッド)―19(Coronavirus disease 2019)と命名されました。
実は今回の新型コロナのように、ウイルス名と感染症名が一致しないのは珍しいケースです。たとえば、SARS―CoV(ウイルス名)に対してSARS(感染症名)、Influenza virus(ウイルス名)に対してInfluenza(感染症名)というのが通例なのです。
ところが日本では、新型コロナウイルス(ウイルス名)に対して、新型コロナウイルス感染症(感染症名)と呼ばれるのが一般的です。従って日本では「新型コロナ」が感染症名のようになっています。海外のメディアでは感染症名で呼ぶことが多いので、COVID―19やCOVIDがよくつかわれます。
コロナ出現サイクル
このように考えると、そもそも新型コロナウイルスは当初から「新型」ではないのですが、日本ではこれからも呼び方が変わることはないでしょう。