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2025年06月18日

世界の食糧危機をもたらしたアメリカの食糧戦略

花子: そうですか。水田でつくるお米で
生命をつなぎ、環境を守ってきた私たちの
ご先祖様の深い智慧が感じられますね。

水田を減らして、アメリカから
小麦を輸入するということは、
ご先祖様の智慧を忘れ去った愚かなことなのですね。


■6.世界の食糧危機をもたらしたアメリカの食糧戦略

伊勢: これほど優れた米の生産を絞るような
減反政策がとられた背景に、
国民の米食からパン食への移行がある。

かつては「米を食べるとバカになる」などという、
馬鹿げたキャンペーンが大真面目に行われて、
日本人の食生活をかなり人為的に変えてしまった。

それが米余りをもたらし、
減反政策につながってしまった。
__________
JOG(1190)人間の身体と大地は繋がっている〜「身土不二(しんどふじ)」の思想
 日本人は、日本列島で採れる豊かな食材に合った身体を発達させてきた。
https://note.com/jog_jp/n/n79c0fd81843b
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

日本人のパン食化には、
陰の仕掛け人がいるらしいことを、

上記の編では述べているけど、
鈴木氏の著書にも、アメリカの食糧戦略が、

いかに世界の食糧危機を
もたらしているかについて、
印象的な事例が紹介されている。

__________
アメリカは、「食料なら安く売ってあげるから、
非効率な農業を続けるのはやめたほうがいい」と言って、
世界中で農産物の貿易自由化を進めてきた。

それによって、基礎食料を生産する国が
減ってしまい、世界全体が、

アメリカを始めとする
少数の食料供給国に
依存するようになってしまった。[鈴木、p99]

こうしたアメリカの食料戦略が、
世界に食料危機をもたらしている。

ハイチは、一九九五年に、
IMFから融資を受けるための条件として、
アメリカから輸入するコメへの関税を
三パーセントにまで引き下げることを
約束させられた。

その結果、ハイチのコメ生産が大幅に減少し、
コメを輸入に頼る構造になっていた。

そこに二〇〇八年の
世界食料危機が直撃、

コメの輸出規制が行われ、
ハイチはコメの不足により、
死者を出す事態となった。[鈴木、p98]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

花子: 国際社会には、こんな謀略も
渦巻いているのですね。

伊勢: そう、そういう謀略を見据えながら、
日本国民は自らの行くべき道を
考えなければならない。

それができなかったから、
パン食化から減反政策、
そして食糧危機へという、
袋小路に迷い込んでしまったんだね。


■7.食糧危機を克復する道

花子: その袋小路から脱出する道が
「米の増産と輸出」でしょうが、
そもそも輸出できるほどの生産能力を持てるんですか?

伊勢: それは十分に可能だね。
さきほどの山下さんの引用でも、

1967年に1400万トン超まで拡大した
という事実が示されている。

また減反政策下の技術進歩の停滞で、
単位面積あたりの収量でも、
日本は中国の75%ほどしかないから、
逆に言えば稼ぎ代は大きい。

花子: でも、お百姓さんたちの高齢化とか、
耕作放棄地の荒廃とか、小さな田の統合とか、
難しい問題がいろいろあるのでしょう。

伊勢: その際に思い出すべきは、
我々は50年かけて1400万トンを
700万トン以下に削減してしまったんだけど、

その前に終戦時の900万トンから20年後の
1967年に1400万トン超まで
拡大したというご先祖様の実績だね。
これに自信をもって取り組めば良い。

大事なことは国民一人ひとりが
今の農政の問題をよく認識して、

国として向かうべき方向を
みなで共有するということだね。

花子: あと、余った米を輸出に回すとしても、
価格の問題もあるのでしょうね。

国内の高いお米を、
輸出できるのでしょうか?

伊勢: その点、山下氏が重要な指摘をされている。
中国では、日本のジャポニカ米の
消費はほとんどなかったのに、

日本製の電気炊飯器が普及してから、
これに向いているジャポニカ米の需要が急増し、
しかも中国米の7倍から20倍の値段で売れている。

欧米でも寿司などの和食は大人気だから、
世界の最高級品種として、最高価格で
輸出できる可能性は十分あるようだね。

政府も今年4月に閣議決定された
農業政策の基本計画で、

2030年までに米の輸出量を現状
(2024年)の約8倍、35万トンに増やす
という具体的な数値目標を設定した。

ようやく「米の増産と輸出」
の方向に動きだしたね。

輸出だけでなく、国内で
需要を増やす方法もありうる。

たとえば鈴木宣弘氏は、
小中学校の給食費用を
国が全額負担して無償化しても、

4800億円ほどと
試算されている[鈴木、p132]。

現在の減反費用が4000億円ほど。

米不足のリスクを増大させるのに
4000億円使うより、

子供たちに美味しい日本のお米を
食べさせるために4800億円使う方が、
はるかに賢明な使い方だよね。[鈴木、p132]

花子: 最近、急速に増えている
子供食堂などに、

おいしいお米を支給する
という手もありますね。

学校給食と同様、子供の時から
ご飯を食べつけていると、

パンからご飯へ、というように
嗜好が戻っていきますよね。

伊勢: まったく、その通りだね。
我々、日本人は、しっかりと
危機を認識すれば、

各分野の人々がいろいろな工夫を凝らして、
危機脱出に智慧と力を合わせることができる。

終戦時の900万トンから20年で
1400万トン超まで拡大したという
ご先祖様の実績に勇気を戴いて、

この日本人らしいアプローチで
危機に立ち向かっていくべきだね。

我々が作り出してしまった巨大リスクを
君たちの世代に残さないために。

それまでに輸入途絶の事態が
起こらないことを祈りつつだけど。
(文責 伊勢雅臣)


■リンク■

・テーマ・マガジン「食の安全保障」
 日本の食糧自給率はカロリーベースで40%未満。中国の台湾侵攻、津波による港湾施設破壊、輸出国の気候変動や感染症流行などによる輸出停止など、多くのリスクを抱えています。


■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

・認定NPO法人 信州まちづくり研究会「豊かな農業と地域づくりの提案 I」
http://smk2001.com/

・鈴木宣弘『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』★★、講談社+α新書、R4
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4065301734/japanontheg01-22/

・山下一仁『日本が飢える! 世界食料危機の真実』★★★、幻冬舎新書、R4
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4344986628/japanontheg01-22/

 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

<著者紹介>
伊勢 雅臣
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減反政策による生産能力抑制

花子: しかし、今回も米不足で、
国内価格もうなぎ登り。

米は日本国民の主食ですから、
安定的に適切な価格で買えるようにするのが、
政府の国民を守る責務ですよね。

そのための施策が、十分とられていないから、
今回のような「令和の米騒動」になったんですね。
何か、もっと良い方策はないんですか?

伊勢:農林省出身で食糧安全保障について
研究されている山下一仁氏は、こう提案している。
__________
最も効果的な食料安全保障政策は、
減反廃止による米の増産と
これによる輸出である。

平時には米を輸出し、
危機時には輸出に回していた
米を食べるのである。

日本政府は、財政負担を行って
米や輸入麦などの備蓄を行っている。

しかし、輸出は財政負担の要らない
無償の備蓄の役割を果たす。

同時に米の増産によって
農地など農業資源の確保もできる。[山下、p162]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

花子: 「減反廃止」って、
どういう意味ですか?

伊勢: まず「減反政策」というのがあった。
これは作物の作付面積を減らすために
補助金を出す政策だね。

これで米の作りすぎを抑制して、
一定の価格に保つようにしたんだ。

減反政策は公式には
平成30(2018)年に終わったけど、

その後も水田から麦や大豆、飼料用米、
米粉用米に転作する農家には、

作物や用途ごとに10アールあたり
最大10万円超の補助金が支給されるなど、
供給を抑制する枠組みは
実質的に続いている。[信州まちづくり研究会]


■3.餓死者が出た終戦時よりも、さらに少ない現在の米生産能力

花子: 米の作りすぎを抑制するといいながら、
今回のような「令和の米騒動」が起きてしまうのは、
減反政策がやり過ぎた、ということですか?

伊勢: そうだね。実際に米の生産能力は
長期的に低下しつつある。

山下氏は終戦時と比べて、
こう述べている。

__________
 ・・・減反政策によって、食料増産を目的として
終戦時の900万トンから20年かけて
1967年に1400万トン超まで拡大した米生産は、

逆に50年間で半減し、
700万トンを切ってしまった。

餓死者が出た終戦時より、
人口が1.7倍に増えているのに、
米生産は4分の1も少ないのである。[山下、p4]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

終戦時の食糧難とは、
空襲で農地や農業施設などが破壊され、
朝鮮や台湾からの米移入も途絶し、
1千万人が餓死するのではと噂された。

小学校の運動場をイモ畑にされ、
上野の不忍池は水田とされた。

山下氏が農林省に入ったのも、
両親から終戦時の食糧難の悲惨さを
聞いていたのが一因だったという。

昭和天皇が皇室財産の目録を
マッカーサーに渡して、

これで国民を飢餓から救ってほしい、
と頼まれたのも、この時だね。

マッカーサーの決断で、
米国から食糧援助がなされ、
なんとか危機を乗り越える事ができた。


■4.輸入途絶で餓死者6千万人

伊勢: 終戦時の食糧難は、
もっと悲惨な形で再現してしまう恐れがある。

終戦直後の自給率は88%、
1965年でも73%あったけど、
2000年代以降は38〜39%で低迷している。

台湾有事や、地震と津波による
日本の港湾設備の損壊、輸出国での
感染症による輸出ストップなどで、
食料輸入が途絶する可能性は十分にある。

その際の事態を、山下氏は次のように予測する。

__________
今輸入途絶という危機が起きると、
エサ米や政府備蓄の米を含めて
必要量の半分に相当する800万トン程度の
米しか食べられない。

・・・今の米生産で残りの半分に
全く配給しないとして、
やっと国民の半分は生き残れる。

それでも約6000万人が餓死する。[山下、p238]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

我々の世代の誤った食糧政策のために、
これほどのリスクを君たち子孫に
残してしまったことを、
深くお詫びしなければならないね。


■5.世界各国が食糧増産にやっきになっている時に、税金を投入して水田を削減する愚かしさ

伊勢: こうした危機の恐ろしさを理解すれば、
補助金を使って米作を削減するという
減反政策の異常さが改めて浮き彫りになる。

世界各国は人口増加と
食糧危機への対策として
農産物の拡大に力を入れている。
山下さんはこうまとめている。

__________
米の生産量について、
・・・1961年から2020年までの伸び率を見ると、
日本が4割減少しているのに対し、

世界は3.5倍、ベトナム4.8倍、
アメリカ4.2倍、中国3.8倍、
インド3.3倍、タイ3.0倍となっている。 [山下、p42]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

花子: へえー、世界各国で3、4倍に
増やしているのに、日本だけが4割減少ですか?

伊勢: 世界的に見て人口増加と
食糧不足の動向のなかで、

飢餓に瀕している人々が
7億3300万人、11人に1人もいる。

実は米は人口を養うという点では、
小麦よりもはるかに強力なんだ。

東アジアから東南アジア、
南アジアにかけて、すなわち日本から、
中国、東南アジア、インドあたりは
面積では世界の14%しかないのに、
世界人口の6割が生活できているのは、米の力だね。

花子: お米とはそんなに優れた穀物なんですか?

伊勢: そうなんだ。
世界で7億3,300万人もの
飢えた人がいるのに、

日本だけそんな世界情勢など我関せずで、
わざわざ税金を使って、
生産を落としているのだからね。

本来なら、豊かな日本列島で
米をどんどん作って、

世界の食糧不足を助けよう、
というくらいの気構えを
持たなくてはならないところだ。

花子:それを自国だけ生産を削減して、
米不足になったら、緊急の輸入で
国際価格を急騰させ、

東南アジアの人々にも
ご迷惑をおかけしているんですね。

我が国が、そんな愚かしい
真似をしているとは知りませんでした。

山下先生の「減反廃止による米の増産と
これによる輸出」という主張は、
こういう過ちを反転させようということなのですね。

伊勢: しかも、米は小麦などに比べると、
はるかに環境に優しい。

小麦など同じ作物を何年も続けていると、
連作障害を起こす。

これはその作物が消費する
栄養分だけが使われて、

土壌がアンバランスとなり、
またその作物を好む
病原菌や害虫が増殖して、
生育が悪化する。

それを人工肥料や殺虫剤で対処すると、
それがまた環境破壊を起こす。

それに対して、水田は、
山−川ー田−海という水の循環で
山林からのミネラルを受けとり、

メダカやトンボ、カエル、藻など
多様な動植物の生息地ともなり、
土壌の微生物も生育する。

水田は何千年耕作を続けても
環境を破壊しない、優れた農法なんだ。
__________
JOG(707)農が引き出す自然の恵み
 農業はカネでは計れない価値を自然から引き出す。
https://note.com/jog_jp/n/n4dd8cb9ff87b
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posted by Mark at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 飢餓リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

飢餓リスク6000万人?食料自給率38%の日本が抱える危機

日本はいつから農業を捨てた?】

現在、高騰を続ける
お米の価格。

生活への影響は必至ですが、
減反政策に加えて
安い外国産農産物の大量流入など、

“農家イジメ” と呼ばれても
仕方のないようなこれまでの
自民党農政にも批判の声が高まっています。

いったい、いつから日本は
農業を大切にしない国に
なってしまったのでしょうか。

じつは、歴史をさかのぼってみると
現代の日本人のほとんどが知らない、

日本が農業を捨てることとなった
「決定的な」事件があるのです…

>続きを動画で視聴する

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★自主独立への気概

筑波大学非常勤講師
伊勢雅臣

パン食化→米余り→減反政策→米騒動という、
今まで辿ってきた袋小路から脱するために。

過去号閲覧:
https://note.com/jog_jp/n/ndeec0de23251

「国際派日本人」養成講座 メールマガジンの登録:
https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=172776


■1.「日本の勝手な行動で迷惑した」

花子: 先生、最近はお米の値上がりが激しくて、
母が大変だとこぼしています。

伊勢: 全くだね。去年の4月は
全国でのスーパーの平均価格は
5kgあたり2000円ほどだったのに、
今年は4200円を超えている。実に2倍以上だ。

でも、平成5(1993)年の「平成の米騒動」
の時の方が騒ぎとしては大きかった。

この時は米価の急騰だけでなく、
そもそも店頭でもお米が消え、
たまに入荷すると店の前に長蛇の列ができた。

花子: その時は結局どうなったのですか?

伊勢: タイなどから250万トンもの米を
緊急輸入したんだ。

しかし、国民はタイ米の調理方法などに
慣れていなかったから不評で、
大量に売れ残ってしまった。

販売店の中には国産米との
抱き合わせ販売をした店も出てきたけど、
それを買ってタイ米だけ捨ててしまう
家庭まであったと報道されている。

花子: なんてもったいないことを…

伊勢: それだけじゃない。
日本の緊急輸入でタイ米の国際価格が急騰し、
東南アジアの庶民は
「日本の勝手な行動で迷惑した」
という批判も出たそうだ。

花子: そういう意味では、国際市場でも、
お金さえ出せばいくらでも食糧輸入できる、
という状況ではないのですね。

伊勢: まさしく、そこがポイントだ。
世界の米生産量は約5億トン、
そのうち輸出入で取引されるのは4900万トン、
10%以下に過ぎない。

しかも、工業製品とは違って、
日本が250万トン緊急輸入したいと言っても、
すぐに増産できるわけではない。

結局、在庫の取り合いになるから、
ちょっとした輸入増で価格が急激に上がってしまう。

花子: そういうお米の値上がりで、
東南アジアの人々に迷惑をかけた、
なんて、申し訳ないですね。
posted by Mark at 21:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 飢餓リスク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする